遺留分減殺請求権と第三者
遺留分減殺請求権と第三者
被相続人(亡くなった方)Aには妻B、子C、Dがいる。
Aが唯一の財産である土地をCに相続させる旨の遺言を残し亡くなった場合の遺留分について
① Dの権利
Aの子であるDはCに対し遺留分減殺請求権を行使することができます。
Dが遺留分減殺請求権を行使すると、Cが相続した不動産はCとDの共有財産になります。
Cは相続した不動産についてDの遺留分に応じた持分の移転登記を行うか、Dに対し価格弁償をした上でC単独の所有不動産とすることになります。
尚、価格弁償の際の価格は、目的物の譲渡時の評価額を基準に決められます。
② DがCに対して遺留分減殺請求権を行使する前にCが相続した不動産を第三者に譲渡してしまった場合
原則として、DはCから不動産を譲り受けた第三者に対して遺留分減殺を請求することはできません。
ただし、その第三者が不動産を譲り受けた時点でDに損害を及ぼすことを知っていたときは、Dはその第三者に対しても遺留分減殺を請求することができ、不動産の返還を請求できます。
この場合、第三者は価格弁償によって不動産の返還を免れることができます。
また、DはCに対してDの遺留分に応じた価格弁償をしてもらうことができます。
③ DがCに対して遺留分減殺請求権を行使した後にCが相続した不動産を第三者に譲渡してしまった場合
DはCから不動産を譲り受けた第三者に対して遺留分減殺を請求することはできません。
②の場合と異なり、不動産を譲り受けた第三者が、遺留分減殺請求がなされたことを知っていたとしても、自己が譲り受けた不動産に関して移転登記を行う等の対抗要件を備えていればDはこの第三者に対し不動産の所有権を主張することができません。