相談事例56 父が「長男に全ての遺産を相続させる」旨の遺言を残して亡くなった。法定相続人は兄(長男)と私(弟)の2人であるので、兄に対して、遺留分相当額を請求しようと考えている。父は生前、友人の債務の保証人となっていたが、この保証債務は遺留分算定に際し考慮されるか?
相談事例56 父が「長男に全ての遺産を相続させる」旨の遺言を残して亡くなった。法定相続人は兄(長男)と私(弟)の2人であるので、兄に対して、遺留分相当額を請求しようと考えている。父は生前、友人の債務の保証人となっていたが、この保証債務は遺留分算定に際し考慮されるか?(箕面市在住の方)
遺留分算定の基礎となる財産は、「相続開始時に存在した財産+贈与財産-債務」で算定されます(民法1029条1項)。
ここでいう「債務」には、保証債務は原則として含まれません。
なぜなら、保証債務は、
①主債務者に資力がある場合には保証人が債務を履行することになる可能性が低い上、
②保証債務を履行したとしても、保証人が主債務者に対して求償権を行使して、保証債務履行のために支出した財産を
回復することができると考えられるからです。
①主債務者に資力がある場合には保証人が債務を履行することになる可能性が低い上、
②保証債務を履行したとしても、保証人が主債務者に対して求償権を行使して、保証債務履行のために支出した財産を
回復することができると考えられるからです。
ただし、主債務者が弁済不能の状態にあるため保証人がその債務を履行しなければならず、かつ、保証人が主債務者に求償しても債務履行のために支出した財産の返還を受けられる見込みがないような特段の事情が存在する場合には、民法1029条所定の「債務」に含まれる余地があります。
本件の場合も、原則として父親の保証債務は遺留分算定に際し考慮されませんが、主債務者である父親の友人に資力が全くない等の特段の事情があれば、遺留分を算定するに当たり考慮される可能性があります。
投稿者プロフィール
- 大阪千里法律事務所、代表弁護士の寺尾浩と申します。当事務所では、豊中市・吹田市・箕面市を中心に、多くの相続問題を多く取り扱っております。依頼者の想いを十分にお聞きし、その想いを実現するために徹底した調査を行い、 専門的知識・経験豊富な弁護士が、依頼者の想いが最も反映された解決案を提示し、 その実現のために、全力を尽くします。 |当事務所の弁護士紹介はこちら
- 相談事例89(吹田市在住の方からのご相談)祖母が亡くなった。祖母には実子が一人と養子(父)が一人いたが、養子である私の父は祖母が亡くなる前に既に亡くなっていた。この場合、私(孫)は祖母の遺産を相続できるか?
- 相談事例88(豊中市在住の方からのご相談)母が亡くなった。母には私(長男)と弟(二男)の2人の子がいたが、弟(二男)は既に亡くなっており、弟(二男)の一人息子が代襲相続人となった。母は全ての遺産を私(長男)に相続させる旨の遺言を残しており、弟(二男)は生前に遺留分の放棄の手続きを家庭裁判所で行っていたが、弟(二男)の子にも母の遺産を渡す必要はあるか?
- 相談事例87(吹田市在住の方からのご相談)父が亡くなり、子である私、(長女)、妹(二女)、弟(長男)が相続人になった。弟(長男)は父の不倫相手の子(非嫡出子)であり、私(長女)や妹(二女)とは半血姉弟にあたるが、各相続人の法定相続分はどうなるか?
- 相談事例86(箕面市在住の方からのご相談)父が亡くなり、私(長女)と父の後妻の子(長男)が相続人になった。父には、不動産等の遺産もあったが、借金もあった。父とは長年疎遠になっていたため、遺産(借金も含む)は全て後妻の子(長男)に渡そうと考えているが、そのためにはどのような手続きを行えばいいか?
- 相談事例85(豊中市在住の方からのご相談)夫が亡くなり、妻である私と子どもが相続人になった。夫とは長年に渡って別居しており、夫は不貞相手と同居していた。夫は不貞相手に遺産の一部を遺贈する旨の遺言を残していたが(相続人の遺留分は侵害していない)、夫の遺言どおりに夫の不貞相手に遺産の一部を渡さなければならないか?
- 相談事例84(箕面市在住の方からのご相談)祖母が亡くなり、祖母の子である母(長女)と叔父(長男)が相続人になった。母(長女)が相続放棄した場合、祖母の孫である私は母の代わりに相続人になるか?
- 相談事例83(豊中市在住の方からのご相談)父親が亡くなり、母親と子である私(兄)と弟が相続人になった。弟だけが相続放棄をした場合、私(兄)や母親の相続分は増加するか?
- 相談事例82(吹田市在住の方からのご相談)父が亡くなり、子である私(妹)と姉が相続人となった。父には遺産として預貯金500万円があったが、同時に100万円の借金もあった。私は父の借金を負担するのが嫌だったため、「預貯金のうち200万円を私が相続し、残りの預貯金300万円と100万円の借金は姉が相続する」という内容で遺産分割協議を成立させたいと考えている。このような遺産分割協議を行うにあたり注意すべき点はあるか?
- 相談事例81(箕面市在住の方からのご相談)父が亡くなり、私(長男)と弟(二男)が相続人となった。父は生前、「A不動産とB不動産を長男(私)に相続させる」という趣旨の第一遺言を残していたが、第一遺言より後の日付で「A不動産を二男に相続させる」という内容の第二遺言も残していた。父親の遺産としてはA・B不動産以外に多額の預貯金もあるが、遺産分割協議を行うにあたり、不動産や預貯金をどのように分ければいいか?
- 相談事例80(豊中市在住の方からのご相談)祖母が亡くなり、その相続人である母も、祖母の相続について承認も放棄もしないまま2か月後に亡くなった。祖母には多額の借金があったが、母の子である私が母の遺産だけを相続することは可能か?