相談事例18:親が亡くなり、自分と弟が相続人になった。親の遺産の中に不動産があるが、遺産分割前に、弟が単独名義の所有権移転登記を経由したうえで、知人に売却してしまった。弟の知人に対し、当該不動産の所有権移転登記の抹消を求めることはできるか?
相談事例18:親が亡くなり、自分と弟が相続人になった。親の遺産の中に不動産があるが、遺産分割前に、弟が単独名義の所有権移転登記を経由したうえで、知人に売却してしまった。弟の知人に対し、当該不動産の所有権移転登記の抹消を求めることはできるか?(大阪市在住の方)
共同相続人は、遺産たる不動産について、それぞれ法定相続分に応じた共有持分権を有しています。したがって、共同相続人の1人が、他の共同相続人に無断で単独名義の所有権移転登記を経由した場合、他の共同相続人の有する持分権に関する限り無権利の登記ということになります。
現行法上、無権利の登記を信頼して不動産を取得した場合であっても、不動産の所有権を取得することはできないとされています。
したがって、遺産たる不動産について、共同相続人の1人が他の共同相続人に無断で単独名義の所有権移転登記を経由して第三者に登記を移転した場合、他の共同相続人は、登記なくして、不動産を取得した第三者に自己の持分権を対抗できることになります。
ただし、不動産を取得した第三者に対抗できるのは、あくまでも自己の持分権だけです。そのため、登記の全部抹消請求をすることはできず、自己の持分権の範囲でのみ、一部抹消(更生)登記手続請求をなし得るにとどまります。
本件の場合は、法定相続分は2分の1なので、遺産である不動産の所有権移転登記を取得した弟の知人に対し、自己の持分である2分の1の範囲で一部抹消(更正)登記手続請求をすることができます。
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